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空からの雨粒
海のなか、マグロのトン、すいすい、すい。水のうえから、ぽつり、ぽつり。空から雨が、落ちてくる。水面にまるい輪ができるよ。トンは「雨だね」と、耳をすます。 浜辺では、シカのエマとウシのモウカ。バレンタインの日、なしをひとつ、岩においたよ。ぽつぽつ、なしにも雨の音。「空から落ちて、海までくるね」と、エマ。モウカは、うんうん、うなずいた。 ふたりは潮だまりへ、そっと行く。雨がぽちゃん、ぽちゃんと入る。水のなかから、トンがすいっ。エマはにっこり、モウカもにっこり。「雨のしずく、ここまできたね」三つの声が、雨音にまじる。 雨がやんで、やなぎのそば。葉っぱの先から、ぽとり、ぽとり。トンは波間で、くるりと泳
裏返しのパジャマ
月がのぼるころ、妖精のマロウは小さな寝室で寝るしたくをしていました。パジャマを裏返しに着てしまっていました。縫い目がくすぐったく、ポケットは外側に飛び出していましたが、着替えるには眠すぎました。そのとき、ベッドサイドテーブルに星花の種が三つあるのに気づきました。月明かりの雨が降る前に植えると、自分に約束していたのです。「ちゃんと守っておくね」とつぶやき、種をポケットに入れました。クローゼットは開いていましたが、マロウはもっといい服を探すために中を見る必要はありませんでした。ポケットが急にこんなに役立つなんて、不思議に思いました。裏返しのパジャマには、思っていた以上のよさがあるのかもしれません。
はじめての、雲の上
はじめての学校、門のそば ジュニパー、空を見あげたよ 空はひろびろ、なにが待つかな ラッコのオットー、やわらかボール三つ ぽーんと高く、草へふわり また空へ飛んで、ジュニパーにっこり 「ひざもかるいよ、雲を見たいな!」 ベラのレンが、ガラスの水そうでやってきた 水はちゃぷちゃぷ、小波もゆれる ジュニパーは気球のかごへ、そっと乗り レンの水そう、クッションの輪にすっぽり バーナーはふうっ、ロープはぴん 朝の光へ、ふわりと上がる 雲をくぐって、青空へ ジュニパー、かごのふちをぎゅっ レンも見ている、ちゃぷりんこ 丘はちいさく、野原は広く 雲はまわりに、白い海みたい 「雲の上だよ!」ジュニパー叫び
うらにわの山
池のうしろに、草のはえた丘がありました。デイジーは毎朝、その丘を見ていました。デイジーにとって、それはただの丘ではありませんでした。それは山でした。 山は池よりもずっと高くそびえていました。小さな道は、くるくると上へ上へとのびていました。雲は山のてっぺんの近くで休んでいるように見えました。デイジーはふもとにいて、草のあいだを風が通りぬけるのを見ていました。 「もしかしたら、登れるかもしれないわ」と、デイジーは言いました。 それから、デイジーは首をふりました。「もしかしたら、登れないかもしれないわ」 デイジーは小さなあひるの子でしたが、山はとても大きく感じられました。すべりやすい石や、大きな風、
二まいのポスター、ひとつの演台、ふるえるスピーチ
明るくて楽しい動物学園は、色とりどりのお花や高い木がいっぱいの、すてきな場所です。その日、学園の中はわくわくした空気でいっぱいでした。今日は、大 talentショーの日だったのです!若い動物たちはみんな、自分のすてきな才能を見せるために、準備をしていました。 その中に、ピピンという、小さくてふわふわした白いうさぎがいました。ピピンはとてもはずかしがりやでしたが、おどることが大好きでした。毎日、自分の小さな居心地のよい巣穴で、大好きな歌に合わせて、くるくる回ったり、ぴょんぴょん跳ねたりして練習していました。でも今日は、どきどきしていました。おどる前に、おどりについてスピーチをしなくてはいけなかっ
10になるなかま
ハリモグラのメリは、ちいさなパズルがだいすきでした。数字をトントンとたたいて、しばらくかんがえ、やさしい答えをまつのがすきでした。ある朝、メリは、ハコガメのタヴィと、なかよしのクモのスーラといっしょに、急いで駅のホームへやってきました。 蒸気機関車がホームのとなりで待っていました。ベルが、チーンとやさしく一度鳴りました。木のテーブルの上には、9と書かれた数字のタイルがありました。そのとなりには、からっぽの場所がありました。 「どの数字にもなかまが見つかるまで、列車は出発しないのよ」と、スーラが言いました。「ふたつのなかまを合わせて、10にならなくちゃいけないの」 メリは一生けんめい考えました。